自分と上司をみてみよう:パブリックとは

パブリックリレーションズ定義補足

仕事をする上での基本単位の一つであり、かつ自分の仕事の幅を左右するくだらなくも重要なパートナーです。ベンチャー企業の場合は、上司がいきなり社長というケースも珍しくありません。パブリックリレーションズは、会社の外とコミュニケーションをとる前に、社内の自分の上司と良好なコミュニケーションが成立していることが前提となります。「上司とのパブリック」とは、何でしょうか。

企業でパブリックリレーションズをするからには、サラリーマンであるため、サラリーマンの人生は上司の手にほとんどが握られていると言っても過言ではありません。基本的には、

1.自分を駄目にする上司(規模によっては社長)
2.自分をのばしてくれる上司(規模によっては社長)

のどちらかに評価が落ち着くと思いますが、それは自分のスキルやキャリアの目標によってまったく変わっていくことを知っておくべきです。世の中ではそれを「相性」というあいまいな言葉で処理していますが、パブリックリレーションズという職場においては、会社の生きた情報を的確なタイミングで活用しなければならないため、つまらないコミュニケーション上の障害は大きな損失を会社にもたらす危機感を持っておく必要があります。

上司のタイプと自分のタイプ、それぞれに分析をしてみます。

1.上司の、部下の使い方の傾向をおさえる

基本的に、上司は以下の3つの種族に分かれると思います。

  (1)部下に投げるタイプ(おしつけるタイプ)
  (2)部下に任せるタイプ
  (3)上司が部下をひっぱるタイプ

重要な決定権を担当者に委任することができるかどうかということと、命じる仕事内容や方針に一貫性が見られるかどうかを見極めることになります。部下に投げるタイプの上司がいた場合は、基本的に何か問題があった場合でも責任は部下におしつけることになる傾向があるので、自分がその地位をすぐに簒奪するか、転職を考える必要があると言えることは、確かです。

2.自分のキャリアアッププランを見直す

 (1)得意科目をのばすことを優先に考えている
 (2)不得意科目の補強を徹底したいと考えている
 (3)まったく新しいチャレンジを求めている

3番目は、未経験者の共通点といえますね。言われたことをとりあえず一生懸命やること。1番目や2番目はパブリックリレーションズの仕事を通じてどんな手法に精通しているかある程度分かってきた人で、その後のキャリアアッププランをどう練っていこうか、と考えている人にあてはまります。当然(1)と(2)には、上司から言われた仕事をこなしながら、自分で創り出す、あるいは工夫することを(3)のタイプの人たちよりもやってみたいと思うでしょう。

3.上司の傾向と自分のキャリアアッププランのマッチングをイメージしてみる

「部下に投げるタイプの上司」には、どのキャリアアッププランも使える反面すべて自分で処理しなければならない状況に追い込まれるため、かなりその仕事内容は厳しいものになりがちです。こちらの努力は上司には伝わらないため(上司がアンテナを持っていない)、パブリックとしては成立しません。しかし、上司からある意味見放されているので、「つぶされてたまるか」というようなマインド進行で、どのパターンよりも自分のスキルを伸ばすことはできるでしょう。

「部下に任せるタイプの上司」は、自分自身も立派なパブリックリレーションの担い手であるか、まったく素人であるかのどちらかです。上司がどちらのタイプかによって、自分に求められるスキルの範囲はまったく違ってきますが、共通点は自分が責任を持って任された仕事を自己完結できることでしょう。

自分が引っ張るタイプの上司は、陣頭指揮を執りながら細かい作業を部下に任せるのが仕事のパターンです。だからまったく新しいチャレンジを求める、なんでもはい、はい、と返事をして一生懸命取り組むタイプの部下が一番向いていますが、仕事内容と適性によって人選されることが多いため、個々人の仕事に対する創造性はけむたがられる可能性が高くもなります。

このような分析を経て、自分のこれからやってみたいキャリアアップと、自分の上司の傾向がマッチングするかを知っておくことは今後のパブリックリレーションズにおける仕事の幅が大きく変化する重要な現状分析になります。自分と上司のタイプがフィットすれば、良好なパブリックリレーションズを行う下地にいると自覚できますが、そうでない場合には、自分の可能性をかなり狭めることを覚悟した上で仕事に臨む必要が出てくるでしょう。

良くも悪くも今後の可能性を明確に測る手段は、ないか?

4.上司がパブリックリレーションズの定義をしっかり語ることができるか?

プロが同志の腕を測ることは当然であるため、上司と部下というパブリックの中でも、自分の上司のパブリックリレーションズの腕はどのくらいのものか、ということを知ることは、非常に重要です。機会を見つけて、上司のパブリックリレーションズの定義に対する見解を聞き出してみて、今後の自分のキャリアの展望を早い段階で考えるといいでしょう。

では、定義の答え方で、わたしたちはどう対応したらいいのでしょうか?

ケース1:しっかりと定義を話せた場合
基本的には問題ないでしょう。ただ、同じ仕事をする者として最低限のルールを知っている、というに過ぎないので、投げるタイプか、引っ張るタイプかにより付き合い方の戦略を練ることになります。

ケース2:定義が話せない場合
パターン1:まったくとんちんかんなことを言い出す、あるいは煙に巻く
基本的に転職を前提に、今のポジションで積み上げることのできる自らのキャリアプランを作り、日々の業務の中でそれをやりながら成果を履歴書と職務経歴書に記述していくのが妥当だと思います。

パフリックリレーションズをまったく知らない人の下に付くということは、バスの運転ができない運転手にバスの運転方法をいちいち指示されるようなものです。こういったタイプの上司は総じて責任を担当者になすりつける傾向があるので、一生懸命やっても適正な評価が得られないばかりか、後ろからナイフで刺されると思ってもおおげさではないですね。

パターン2:特定の技術論に偏る
よくあるパターンが広告代理店上がりのパブリックリレーションズ担当者です。
この上司に対応するのは、その上司のまちがった定義に同調して、上司と同じ技術的傾向を持った専門家になる努力をするか、上司の足らない技術を補う形で取り組むかを考えなければなりません。ただ、同調は自らも間違った定義を踏襲することを意味し、組織のパブリックリレーションズは崩壊することを意味します。補足・補助も基本ができてない人を上司にするために相当のストレスになります。

まとめ:賽の河原にとどまってはならない

パブリックリレーションズにおける上司判断が特に重要なのは、会社の情報を外部に伝えるということは経営上非常に重要な役割であり、そんな役をまっとうするためにはバックステージはあらゆる面で安定している必要があります。しかし、上司と折り合えない場合、大事な情報を知らせてくれなかったり、情報公開に消極的だったりと、内部的な障害にさらされながら外部と接触しなければならない状況になります。矢面に立たされる、ということです。

ベンチャー企業の場合、上司は社長、というケースはよくあります。社長が情報発信方法を理解している場合、あなたは最高の環境でパブリックリレーションズを行うことができますが、利己的な考え方の社長や上司のもとでは、情報発信はある程度できるものの、安定的にふみにじられます。その裏には必ず不正会計やハラスメントなどの問題が隠されています。

パブリックリレーションズの考え方が履行できない以上、担当者はその組織を離れるべきであり、それはもしかしたら1分1秒を争う事態であるかもしれません。私は「踏みとどまってがんばれ」なんてきれいごとをここでは書きません。どれだけのストレスを感じることか、私自身も身に染みて体験しており、それは結局その後のキャリアに大きく影響を与えるからです。逃げることもまた、パブリックリレーションズの正しいスキルです。

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