パブリックリレーションズ担当者は、情報発信を担う分、いろいろなことを知っていなければなりません。ゆえに、毎日情報を仕入れるインプットをルーチンワークとして行います。これらの蓄積を、組織にとって有効だと思える内容別にまとめ、積極的に組織に紹介・提案することで、あたらしいビジネスチャンスを作ったり、組織の高度化に重要なきっかけを提供します。
有能なトレンドウオッチャーがそばにいることを忘れがち
たとえば、10の新聞に毎日目を通すことを1年やると、相当量のインプットが無意識的に達成されるものです。
自社に関連する業界動向や自社の紹介記事を探すこと以外に、複数テーマ設定をしておくだけでも、相当量の情報をパブリックリレーションズ担当者たちは蓄積することができます。
これは組織内に有能なトレンドウオッチャーがいるということなのですすが、ほとんどの組織では、パブリックリレーションズ担当者が持つ圧倒的な量の情報ストックを重要視しているケースは少なく、部員も活用法を検討したことがないのが現実です。
経営者目線になるか、担当者目線になるかで蓄積の活かし方がちがってくる
トレンドウォッチャーとしての活用がなされない最大の理由が、担当者が経営者目線ではなく庶務目線で情報を見ているからです。
担当者レベルでは、自社を紹介している記事や番組をチェックする、いわゆるエゴサーチと、自社が属する業界のニュース検索・交流・取材を通じて業界トレンドサーチをまとめるのが通常です。
経営者目線を加えると、ビジネスチャンス(マーケティング)、資金調達(ファイナンス)、人材獲得(ヒューマンリソース)、技術開発(イノベーション)という情報収集も必須となるため、サーチ対象はジャンルを問わず、幅広く行うようになります。また、リソースが限られているので集めた情報をどう2次活用、3次活用するか、という前提で1つの情報に複数の仕事をさせようとします。
それらの傾向を以下のモデルにまとめてみました。
最低限の情報は一番下の「優先度1」の部分をカバーしていればよく、上に行けばいくほど、「集めるといいよね」というnice to doの種類の情報になります。
社長は基本的にひとりで黙々と、このモデル図にリストされる情報を網羅的に収集を行っているもので、月に本を数冊読んだり、移動中にポータル経由でさまざまな情報をチェックしているのを見ている担当者も多いはずです。
社長の情報収集動向を聞き出したうえで、担当者レベルでの最低限の収集(エゴサーチ)を維持しながら、幅広いテーマを社長の視点に沿いながら独自の視点で複数人がカバーすると、収集したあとの活用度が格段に向上するものです。
無心の客観的比較がもたらすもの
パブリックリレーションズ担当者は、技術開発や営業開拓、カスタマーサポート、人材募集の最前線にいないかわりに、これらの活動を客観的に見ながら、すべての関連分野で日々情報サーチと蓄積を行っています。先ほどの経営者目線でこれら集めた情報をチェックしていると、新しいビジネスチャンスや業務手法の改善アイディア、思わぬところにあったビジネスリソースなど、会社の活動にとってポジティブな分析結果をもたらすことがあります。
新聞を毎日見ていることがばかにされるのは環境としては最悪です。パブリックリレーションズ担当者の日々の作業は情報分析にかかわる高度な仕事であると、社内も担当者自身も認識すべきですね。
トレンドウォッチャーとは、最新トレンドを誰よりも早く把握する、というイメージですが、自社にとってトレンドになっていく要素を発見することも意味しており、単なる情報収集ではないのです。パブリックリレーションズはパスファインダーでもあるのです。
###