パブリックリレーションズの定義を改めて記してみよう。
「パブリックリレーションズとは、組織とそのパブリックたちの間に相互に有益な関係を構築する戦略的なコミュニケーションプロセスである。」
パブリックリレーションズの定義は、すべてに対して中立のスタンスでのぞみながら、定義にある3つのキーワードを読み解くことで、その全容を知ることができるようになるでしょう。
それぞれの解説は、テーマ:パブリックとは?、相互理解とは?、コミュニケーションとは?に記していきます。全容を知ったあとは、今度は使ってみなければならないですが、この読者においてはおそらくほとんどの人が自社組織での活用になることでしょう。それぞれの仕事事情や業界事情に合わせて、必要とされる情報チャンネルは多様化し、担当者はそれに対応していかなければならないですが、「パブリックリレーションズの定義」そのものは、多様化することは決してありません。仕事の進行に迷ったら、常に定義文に戻ること。そして自問することです。
1.わたしが今やっているパブリックリレーションズは、結果として何を達成するものだったか?
2.わたしはどんなパブリックを相手にしているのか?
3.わたしがここで、この案件でめざす相互理解とは、何か?
4.わたしが使うコミュニケーションは、どのチャンネルか?
5.わたしは中立を維持できているか?
パブリックリレーションズを担う者はその扱う情報の多さとそれを駆使する選択肢の多さ、そして多様なパブリックを前にして自分の立ち位置を見失います。そのときにかならず戦略の原点に立ち返ることが必要です。さらにその戦略はどんな思想・企業理念を背景に作ったものだったかというところにまで立ち返らないと、自分の中立性は維持できないとも言えます。5つの質問は、本来の自分に戻るための5つの自問であると言えますね。
このように、定義と実地の付き合い方を作ることで、パブリックリレーションズとは何かを肌で実感しながら横道にそれない正道を歩むことができます。