いい会社をつくりたければ、東洋経済のCSRアンケートを参考にするといい

CSR

ひとにやさしく、環境にやさしく、サラリーが高く、充実した日々を過ごせ、その理念は世界を救うためにある。いい会社を1フレーズで表現すると、こんな感じではないでしょうか。この、「サラリー」と「充実した日々」を除いて、CSRはその具体化のための世界標準のチェックリストかもしれません。

ただ、CSRは特定の内容に対するルールの集合体のような側面があるため、CSR全般を動かす(=いい会社ぶる)ためにどのようなことをしておけばいいか、という指標は、なかなかありません。

そこで、東洋経済新聞社が毎年上場企業に対してアンケート調査を実施しているCSRアンケートの調査票を参考に、それにこたえていくことで今後の組織に何が必要か、どんな知識をそろえないといけないかをしらべることを提案してみます。

東洋経済新聞社のアンケートリストを読み解き、CSRに必要な知識はどんなものかを解説していきたいと思います。ひとつひとつを研究していると、超大作になるので、今回はさわり程度です。

 

アンケートは3編に分かれている

アンケートは、「CSR全般・社会貢献・内部統制等編」「環境編」「雇用・人材活用編」という大きく分けて3つのテーマに分かれて質問が展開されています。

1.CSR全般・社会貢献・内部統制等編(34問)
2.環境編(18問)
3.雇用・人材活用編(19問)
*設問数は、細かい内容なども含めて改めてカウントしたものです

CSRのルーツは環境問題に企業がどう取り組んでいるのか、というところから始まったものなので、環境編があるのは自然で、その後雇用問題などに展開され、現在は企業理念に関わるものを中心にみられています。

1.CSR全般・社会貢献・内部統制等編(34問)

組織体制・とりくみ・姿勢をいかに文書化するか、という項目が並びます。

Q1 CSR専任部署の有無
Q2 担当役員の有無
Q3 サステナビリティのための基本的な方針、施政、取り組みについて
Q4 統合報告書の発行の有無とその内容の詳細について
Q5 ステークホルダー・エンゲージメントの開催(双方向の意見交換会など)
Q6 ステークホルダー・エンゲージメントの内容をCSRレポート(Webも含む)で報告
Q7 汚職・贈収賄防止に関する方針
Q8 CSRの活動や報告書作成でのISO26000の活用
Q9 CSR活動に関する担当部署の有無
Q10 CSR活動における社会貢献活動、政治献金・ロビー活動支出額等について
Q11 ボランティア休暇、同休職、青年海外協力隊参加制度、マッチング・ギフト資金支援
Q12 CSR活動でのNPO・NGO等との連携の有無とその関係のリスト
Q13 ESG(環境、社会、ガバナンス)情報の開示、SRI、エコファンド等の採用状況、コーポレートガバナンス
Q14 相談役・顧問制度の導入しているか?
Q15 社外取締役による経営者の評価で世界で使われている基準のどれを使っているか?
Q16 CSR調達全般の取り組みについて
Q17 内部通報・告発窓口、通報・告発者の権利保護、内部通報・告発の状況について
Q18 消費者からのクレーム・要望情報の対応・体制について)
Q19 ISO9000Sの取得事業所割合を算出基準とともに回答
Q20 内部統制の体制とその仕組み
Q21 リスクマネジメント・クライシスマネジメントの取り組みに
Q22 企業倫理方針と倫理行動規定・規範・マニュアル等について
Q23 国内・海外での法令違反等について過去3年分の件数とその概要
Q24 参画する地域社会参加活動の具体的事例3つ
Q25 参画する教育・学術支援活動として具体的な事例を3つ
Q26 参画する文化・芸術・スポーツ活動として具体的な事例を3つまで
Q27 参画する国際交流活動として具体的な事例を3つまで
Q28 社会課題解決と事業の両立を目指す取り組みについて(CSV、BOPビジネスの取り組みについて
Q29 主にグローバルでの課題解決やCSR活動の取り組みについて
Q30 2016年度、2017年度において労働安全衛生分野、環境分野以外で特筆すべき表彰事例があったら
Q31 プロボノ支援をしてますか?
Q32 プロボノ支援の取り組みについて、どんなことをされているか
Q33 東日本大震災等の復興支援の現状について
Q34 現在(2018年6月末時点)の東日本大震災復興支援の取り組みについて

詳細は★勝手に解説記事(近日アップ予定)にて書いてみたいと思いますが、、、素直な視点で見て行けば、「それって公平公正?」というようなものもけっこうあります。

2.環境編(18問)

CSRの真打ちといいますか、この対策を企業に問うことからはじまったので。

Q1 環境対策担当部署は、あるか?
Q2 環境担当役員は設置しているか?
Q3 環境報告書など環境方針文書は作成しているか?
Q4 環境会計(あるいはそれに準ずるもの)は実施しているか?
Q5 環境会計の主要な費目別金額・数量を教えてください
Q6 環境監査の実施状況について
Q7 環境マネジメントシステム(EMS)の構築について
Q8 ISO14001の取得事業所割合を算出基準
Q9 環境(CO2排出量・原単位削減を含む)に関する中期計画について
Q10 2017年度の環境対策についての目標・実績をそれぞれテーマ別で具体的に2つまで教えて
Q11 事務用品等のグリーン購入比率
Q12 原材料調達について
Q13 環境ラベリングの取り組みについて(すべて選択)
Q15 環境リスクマネジメントについて
Q16 法令順守のために大きな労力をかけていると考える環境関連法令を国内、海外それぞれ2つ
Q17 2016年度、2017年度において環境に関する特筆すべき表彰事例があったら
Q18 環境への影響(気候変動、生物多様性等)について

リストとしては軽い感じがしますが、1つ1つの質問はかなり突っ込んだ内容を答えないと成立しないものばかりですwつまり、体制整備が完全にできてないと、空返事をしてもすぐにばれる内容だ、ということですね。

 

3.雇用・人材活用編(19問)

Q1 期末時点の従業員関連データ(過去2年)
Q2 離職者の状況(正社員のみ、定年退職を除く)(過去2年)
Q3 2017年度末時点での世代別従業員(有価証券報告書ベース)
Q4 直近時点での30歳平均月例賃金(大卒・総合職)と同、最高・最低(賃金格差がある場合)それぞれの金額
Q5 年間総労働時間、月平均残業時間と同残業手当(2017年度実績、全従業員ベース、残業時間削減の取り組みについて
Q6 多様な人材の役職登用状況(2017年度末、あるいは直近時点)に
Q7 多様な人材の能力活用・基本理念・取り組みに
Q8 勤務形態の柔軟化に関する諸制度
Q9 勤務形態の柔軟化に関する諸制度 を選び、「あり」の場合のみ制度の概要
Q13 従業員のインセンティブを高めるための諸制度
Q14 産休、育児休業、看護休暇、介護休業等の状況についてご回答ください
Q15 子育てや介護などと仕事の両立支援制度についてご回答ください
Q16 新卒採用状況についてご回答ください(2017年度、2018年度について)
Q17 中途採用状況についてご回答ください(2017年度、2018年度について)
Q18 人権・労働問題等の対応についてご回答ください
Q19 従業員教育、人事制度、評価制度についてご回答ください

企業としてはかなり答えたくない内容が満載です。離職率は相変わらず公開したがらないです。

いいかいしゃづくりとは?

改めて、各分野のもとめている内容をみてみると、CSRとは、企業理念の表現についての指示書といえ、環境問題は事業プロセスに低炭素社会実現のための具体策があるかを問うており、人材活用は機会均等を設けているのかを問うているような、基礎的であり、かつ最低限なことを聞いているように思います。

基礎的なものなので、この先にどのような積み上げを行っていくか、という課題が存在しており、CSRは社会貢献性をアピールする第1歩でしかない、ということではないか、と。

第1歩であるにもかかわらず、その導入は上場企業でないと受け入れてもらえない傾向もまた強いものではないかと。

必ずいるのが、うちは上場しないから関係ない、小さい会社だからそこは目指さない、という社長です。

上場企業は着実にこういう制度を利用して働きやすい環境、社会から指示される環境を整えて行っています。これを10年、20年と取り組んだ企業と、うちは関係ない、というスタンスの会社では、改善の差はあきらかになるだろうな、というのはだれの目にも明らかですよね。

競争環境に、こういった制度を整えた会社が取引先リストの先の先にいるという現実を無視し、自分たちの都合しか考えない利己主義は、かならずバッシングの標的になることでしょう。あるいは売上不振に悩まされることは必須でしょう。人材はこぞって人にやさしく、社会にやさしく、環境にやさしい会社に就職希望です。人材獲得という面でも大きく差をあけられてしまうでしょう。「うちは上場しないから関係ない」ではすまされないことなのです。そういう残念な会社でのパブリックリレーションズは大きく制限されることになります。あなたがその会社に残るのか、いい環境を求めるのか。己の中立性に従って行動するには、この質問リストはいい指標になるのではないでしょうか。