途中からつくるコミュニケーション戦略の注意すべきポイント

PR201

情報発信は、経営戦略に沿って長期スパンの計画をつくると、ブランディングや企業価値向上で非常に効率的で効果的な管理ができるようになります。しかし戦略は綿密に練る必要があることから、オンタイムで業務にふりまわされがちなベンチャー・スタートアップにとっては非常に難しい課題にもなっています。

事業計画を立てた時点、あるいは稼働3年目くらいに経営戦略とコミュニケーション戦略を立案できているのが最善ですが、設立年数が過ぎ、事業が軌道に乗ってきて少し余裕が出てきてから検討を始める、という企業が圧倒的多数の現状では、以下のようなステップで、「走りながら作る」ということが必要になるでしょう。

第1ステージ:ひとまず、流れに巻き込まれてみる

現状かかわっているメディアチャンネルをすべてリストし、活況度合いをしらべながら、ひとまず振られている課題をこなしていきます。
・こなす内容は前任者からの引継ぎをそのままこなすコピペです。
・直感的にやり方がおかしいと思う場合には間引いた上で対応します。

追加の仕事はゆるやかに引き受けますが同時に社内外でお仕事を共にできる人や組織の選別を行います。

<調べる項目>
・SNSの場合、フォロワー数とエンゲージメント率。同業ライバルの状況
・それぞれのチャンネルで発信しているメッセージ内容の単なるリスト過去10回分もあればいい
・チャンネルで出ている問題があったら列挙する
・担当者が強い分野をヒアリング。実際の過去ポートフォリオで制作傾向を把握。納期の期間なども計測

ランダムに持ち込まれる依頼に、すべて「その依頼を発するに至った経緯」と、「最終的に誰にどう動いてもらいたいのか」を聞く。記録に落とす。

*ワークフローの理解には2か月を要するとみる
実務における対人コミュニケーションは2か月くらいをひとつのメドとしてつきあうようにする


第2ステージ:交通整理

実際のワークフローに触れて「おかしいな」と思った工程にマーキング
PR課題候補としてヒアリングした内容が、手法への不満がなかったかを調べる

業務フローをプロジェクトマネジメントのガントチャートにまとめ、チェックリストづくりをする。

経営戦略または事業計画書のリライトをして、経営に至った経緯を学ぶ。
必要と思われる数字や考え方が抜けていた場合、経営陣に質問におもむく。


第3ステージ:活動履歴を整理

実務をこなしながら、年間計画に組み込めるものと突発的なものに仕分けし、年間計画に組み込むべき履歴をカレンダーに落とし込んでいく(業務内容の難易度に応じて、準備期間を想定する)。


第4ステージ:年間計画を先回りして作れるか

年間を通して活動しなければわからないケースと、目先の業務をこなしながら作った余裕時間で今後の分も含めて年間計画がうっすらとリストできるか、になります。実態は目先の業務に追われてそういったことを考える余裕すらないことのほうが多く、いったんその業務をこなしてレビューをしたときに、カレンダーに組み込めるかが勝負の分かれ目だったりするものです。


しかし第1~第4ステージは、明確にわけることはできない

未来のプランは、ベンチャー企業にあっては不確定要素が多いのと、現状の業務量が多いので作ることができないことの方が多いものです。さきほども書きましたが現状をこなしながら「次回はこうしよう」と思ったことを必ず記録しておき、ある程度まとまったら年間計画に落とし込めるものと突発的なものを整理するのが現実でしょう。ここまでのステップは、情報の奴隷にならないようにいかにマインドをもうひとつ持っているか、にかかっています。


第5ステージ:経営戦略にフィットさせていく

(たまに、経営戦略がお門違いな方向性で作られているものがありますが、ここでは経営戦略が全うであることを前提に書いていきます)

カレンダーに落とし込める情報発信は、ある種のルーチンワークです。これらをまずリストしてみると、意外と情報発信にはサイクルがあることを発見します。

これらのルーチン化が可能な発信が、はたして経営戦略を踏襲するものであったかどうかを審査します。

ここで修正すべきと判断したら、すぐにその改善案を作り、カレンダーに改めてプロットします。

こうしてルーチンワークを整理すると、予算と作業量がどのくらい必要か、というめぼしが立ちます。

さらに突発的だがよくよくみると毎年やってる情報発信を、ルーチンを整理したように経営戦略にフィットしているかを審査し、OKならカレンダーにだいたいでいいので落とし込み、必要予算を割り出します。


第6ステージ:ついに来た、予算化

予算化を考えることができるということは、発信に対して余裕ができていることを意味します。情報発信の内容を1から検討し、経営戦略に沿ったものにしていく作業が晴れてまっとうにできる、という状態まで持ってきました。

昨年度の実績をもとに予算をリストしていくわけですが、これは組織内で使える金額の最大値、と考え、翌年度予算は当然ですが、「いったん削減する」方針で決定します。

カレンダー化できたので、事前準備ができるのと、突発対応で無駄な予算がある程度削れるはず、という見立てからです。

ただし、非生産的組織の存在価値は、「いかに予算を獲得できるか」です。予算を獲得した分だけ活動し成果を上げていかなければならないですが、経営学の祖:ピータードラッカー博士は「いかに予算を獲得できるか」がその部署の存在意義を証明している、としており、私もこの意見には賛成です。

いったん削減する、というのは、無駄な予算利用を排除するためであり、効率的運用が可能になってからは、必要に応じて予算増加策を取るのは当然といえば当然なのです。なので、経営戦略とは各戦略実施でどのくらいまで予算を割くか、も検討しなければならないのです。


第7ステージ:戦略を深化させていく

昨年度実績をもとに、何をして何をすべきでなかったかのレビューがすでにされているかと思います。できてない場合には、以下のステップをプロジェクトごとに必ず実行するようにルーチン化しなければなりません。

状況調査

仮説提唱

仮説の妥当性調査

実施

評価・検証

改善策の提示

とくに仮説を作るのは、調査を短縮化し、実施にすぐにうつれる重要なステップです。コミュニケーションのほとんどはやってみなければわからないことばかりですが、それでもあたりをつけて挑まないと、テストの無限ループにはまることもあります。

さて、昨年度実績をもとに、今後の戦略を作り、実際の発信プロジェクトを組成していくわけですが、プロジェクトの内容自体は昨年度実績をもとに肉付けするか削るかを考えればいいと思います。これを繰り返していくことで、常時6から8件のパブリックリレーションズプロジェクトが稼働している状況を作っていくのです。