会社と社会:パブリックとは

パブリックリレーションズ定義補足

パブリックとの対話の基本は、継続的に相互理解の関係を築くことです。商品を買ってもらえば、それでおしまい、という考え方は、自分勝手で相手のことを考えているとは言えません。かといって相手それぞれの細かいところにまで気を配れるということでもないので、会社のとりくみや商品・サービスがどう理解してもらいたいか、その通りに理解されているか、ということをしっかりと伝えるという姿勢で望み、その後生じる細かいことは、会社の実際の担当者にバトンを渡すという分業をこなす必要が出てくると考えるのがいいでしょう。

パブリックの特性に応じた方法論を持つことは、非常に重要になります。そういった方法論をオプションとして持つことには、企業活動のそもそもの理念をしっかりと認識しながら、担当者として会社側の人間でもない・消費者側の人間でもない中立スタンスを維持することが、パブリックリレーションズを担う者の基本動作となることを忘れてはなりません。

パブリックリレーションズの定義では、基本的に「来る者拒まず」という姿勢で活動をするのが理想とされていますが、特定のテーマを扱えば扱うほど(セグメント化が進めば)、何らかの反対勢力や似たようなパブリックが目の前に現れてくるものであり、そういった場合にはパブリックごとにとるべき戦術を検討し、対処していかなければなりません。現実としてはそういった異なるパブリックと向かい合うため、公平にパブリックリレーションズを行うことは不可能です。

では、社会におけるパブリックとはどんなものなのでしょうか。わたしは対象は大きく分けて2種類になると考えます。

 ・パブリックリレーションズをしなければならない相手
 ・どうでもいい相手

活動をすると、(自分たちの視点に立つと)以下のパブリックがあることに気づきます

1.どうしても振り向かせたいパブリック

会社の商品やサービスをぜひとも知ってもらいたいパブリック。つまりは商品やサービスを売りたい潜在顧客層というのが理解しやすいですね。しかし、これは営業の仕事であり、パブリックリレーションズが対象とするパブリックは、そういったキーターゲットを取り囲む人々や組織・団体すべてを指します。
たとえば、女性用石鹸を買ってもらうために、女性はもちろんのこと、それを使う環境のある職場(女性の同僚・仕事上石鹸を必要とする人)や家庭(家族)というパブリックも、パブリックリレーションズは対象と考えます。キーターゲットが商品を買ってくれた後も、パブリック全体で自社の商品を高評価してくれていれば、その商品は宣伝などしなくても継続して良好な売り上げを記録することができる(これをブランディング・マーケティングという)。

2.理解してくれているパブリック

どうしても振り向かせたいパブリックが振り向いてくれた場合のパブリックと、購買行動に移らないものの、商品やサービスの存在を肯定的あるいは中立的に支持してくれる人たち。より深い理解と高い評価、応援をしてもらうために、継続したパブリックリレーションを行う対象とも言えますね。

3.どうでもいいパブリック

興味・志向が自分たちとは全く違うゾーンにあり、接点がないとみなせるパブリック。普段はパブリックリレーションズの直接の対象にならないが、会社の社会活動では接点がない分だけ見たまま、聞いたままをダイレクトに評価してしまう傾向があり、「突然やってくるパブリック」とも言い換えることができます(マーケティングで言うと、「セグメント外のセグメント」)。

4.不理解を示すパブリック

何らかのアクション(パブリックリレーションズ活動)に対して「反対」の立場や「不快感」の立場を取るパブリック。たとえばプロ野球のパブリックリレーションズは常に敵対チームからは「反対」の立場を取られてしまう、というようなのがいい例か。

5.およびでないパブリック

「振り向かせたいパブリック」や「理解してくれているパブリック」に対してパブリックリレーションズを行っていると、たまに意図しない方向のパブリックが私たちの活動に賛同してくれることがある。ただ、この結果として変化した現象が、マイナスのものになった場合は、「およびでないパブリック」ということになり、相応の対処法を取らなければならない。

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