コミュニケーションの基本モデル

パブリックリレーションズ定義補足

パブリックリレーションズはコミュニケーションありきですが、コミュニケーションとは何か、という説明を求められると詰まってしまう人も多いと思います。この部分を理解していないと、パブリックリレーションズは目先の方法論にしか目がいかなくなる傾向があるので、ここでは定義補足の意味も含め、考察したいとおもいます。

「コミュニケーション」とは、日本語にない語彙です。

訳すと「対話」というような用語になりますがが、英語圏での実例を見ていると、これではぱっとしない感覚があります。

この言葉のルーツは「異文化交流」だと、私は大学で学んでいるときに感じました。
例を挙げたほうがわかりやすいので適当なものをあげてみましょう。

たとえば韓国人とフランス人がテーブルマナーについて話をしたとすると、彼らの文化的バックグラウンドはまったく違うために、お互いの主張を理解することが難しいときもあります。しかし、それぞれのバックグラウンドは相応の理由があるわけで、それらを説明しながら「なるほど」という納得を得ることがあります。バックグラウンドがまったく違う2人が、自分たちの経験と相手の経験を比較して、その内容で理解しあえる妥協点を探るプロセスが、「コミュニケーション」の意味する原点であったと言えます。

日本では、この「コミュニケーション」というものが、存在しなかった。なぜかというと会話をする人同士が同じ民族であり、文化的背景も根本的には一緒だからです。ところが戦後海外との対話機会が増えたことで、文化的バックグラウンドが「未知」の人間とわかりあう必要から、「コミュニケーション」という、お互いを理解する、妥協点を探るという試みが始まりました。

パブリックリレーションズとは、異なるパブリックとの相互に有益な関係づくりを目的にするため、まったく考え方の違う人たちとわかりあわなければならない点で、「コミュニケーション」を取ることは必須となります。テーブルマナーの話をするように、分かり合える点を増やし、理解してもらう部分を増やすことが、コミュニケーションの要点となることを、まずは知っておきましょう。

コミュニケーションをモデル化すると、以下のようになります


Laslawコミュニケーションモデル

発信者は、伝えたいことをメッセージとして、伝達手段に変換し、受信者はそのメッセージを自分なりに変換し、受信する。そこで起こった疑問点や確認をフィードバックで返す。発信者はそれを受けて、受信者の理解を修正したり、追認したり、否定したりする。これがコミュニケーションの基本モデル。

ところが、コミュニケーションはバックグラウンドの違う二者が対話する点で勘違いがおきやすい。どこで起きるかというのは「変換」と書いてある部分と、伝達手段自体におこります。

「変換」は、それぞれの経験に裏打ちされた知識をベースに行われるので、両者の知識に大きな差がある場合には、意図したメッセージがかなり違った解釈をされてしまいます。

また、伝達手段自体にノイズがかかることがあります。たとえば雑踏で声を上げても途中の部分がかき消されてしまって10の言葉を8つしか受信できなかったり、文にした言葉の意味が間違って捉えられたり、という勘違いがそれです。これらの問題点を科学するのが「コミュニケーション学」なのです。

ちなみに上記の概念は、インターパーソナルコミュニケーションInterpersonal Communicationに分類され、実際の講義ノートから転記したものです。

つまり、コミュニケーションの課題は、「相手にどれだけ合わせられるか?」

1.相手の受信レベルにどう合わせるか
2.どんな伝達手段が受信者に対して勘違い度が低いものであるか

ということを考えればよく、パブリックリレーションズでは対するパブリックとこれらの問題点を具体的に解決することを念頭において行うことが、成功の近道となりうるのです。

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