情報発信のニーズをマズローの欲求5段階説で検証してみる

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心理学者マズローがまとめた欲求5段階説というものがあります。
人々の欲求がどのようなものなのかを5段階にまとめたものです。この説を使って、簡易的にマーケットニーズ把握ができると思っていて、今回はその活用法を披露してみます。

マズローの欲求5段階説

人間の欲求は、ある条件をクリアしていくと、次の欲求が生まれ、それに向かって進んでいく、というものを、5つの段階、5つの階層に体系化したものです。


1.生理的欲求 生命維持のための食べたい、眠りたい等の根源的な欲求
2.安全欲求 安全な環境、経済的安定、健康的生活をしたい
3.社会欲求 家族、集団を作りどこかに所属している満足感を得たい
4.承認欲求 存在価値を認めてもらいたい
5.自己実現欲求 自分の持つ能力や可能性を最大限発揮したい

誰もが持っている欲求ですが、こうやって並べてもらうと、なんとなくみんなが納得できるものでもありますよね。

理論を詳細に研究していくと、人間の欲求はきっちりと5つに分かれるわけではなく、いろいろとツッコミどころが出てくる説でもありますが、

・たとえば年収200万円達成は生理的欲求を満たすレベル、というような、それぞれの段階における欲求の到達点を明確にする
・ひとつの分析に対して何個か欲求をあげてみて、一番多かった欲求を真のニーズとする
・欲求をひと言にまとめて、ファジーな副次的欲求をひとまず切り捨てる

というような前提条件を付けると、この説もけっこう使えるようになるのです。

到達点を計測しやすく、ニーズ検証のブレが起きやすい分野に適しているかも

これらは、人々のニーズが変動しやすいものや、広域的なものほど向いていると思い、それは地方創生やまちづくり系のものがフィットするのではないか
、と思います。地方創生やまちづくりなどは、

・ファジーなミッション設定が多く、
・根源的な定義化にはほどとおく、
・つまらないレベルで堂々巡りをしがちで誰も責任を取らない

なテーマです(笑)。しかし、マズローの欲求分類に、いろんな人たちの勝手な言い分を落とし込んでみて、何が大多数かを探ると、
そのパブリックのマジョリティがわかり、ひとまずのニーズというものが輪郭を持ってくるものです。

どこでもよくありがちなトピックスでやってみましょう

たとえば災害により道路の寸断などインフラの障害が起こった被災地では、必要とされるものは復旧状況の確認であり(生理的欲求、安全欲求)、次に求められるのは通常の生活に戻るためのサポート体制の情報(安全欲求)です。お嫁さん募集コンパの斡旋(社会欲求)や、副業を通じた時間に縛られない生き方の提案(承認欲求)ではないでしょう。

過疎地の人口対策では、移住してくる人たちが安心して暮らせるコミュニティのアピールであり(社会欲求)、次に必要な情報はそこでどんな自己実現の方法があるのか(承認欲求、自己実現欲求)をできるだけ多く、詳しく伝えることです。その土地が放射性物質に汚染されていないことをアピールする(生理的欲求、安全欲求)のは、違います。と、いうように。

真のニーズから2段階とびこすと、その発信はお門違い感が如実に出る

これは逆説的な検証ですが、「へんだな」という情報発信があったら、その内容がどの段階の欲求かを特定し、前後2段階スライドしてみると、
出すべき情報が簡単にわかったりします。

たとえば震災復興支援員募集で、人口がまったくいない地域でコミュニティ形成を促進することをミッションとしていることがあったとして(っていうか、実際にあった話です)、「人口が少ないのにこのミッションはないだろ」と、わたしは思ったわけです。で、その欲求はそもそもなにか、と調べてみると、これは社会的欲求を意味しています。これを2段階スライドさせると、生理的欲求か、自己実現欲求が真のニーズなのではないか、と仮説を立てて調べてみると、その地域でのアンケート調査がみつかり、そこには「通常の生活ができる環境の確保」というのが回答の圧倒的多数をしめていた、というような。まず、あたりまえの生活に必要なものは何かを揃えるための活動・情報発信が真のニーズであることが判明したわけです。

自分たちがどんな情報提供をしなければいけないかで、どの段階にいるのかを把握できる

自分たちのもっとも多い欲求が、どの段階にあるのかを明確に把握できるということは、何をしなければいけないかを明確にすることを意味するので、情報発信・コミュニケーションの方向性を定めやすくなります。

たとえば売上アップになやむ小売店の欲求は安全欲求なので、次に目指すのは社会的欲求を満たす要素、たとえば常連客の囲い込みや、なにか得意な商品にしぼりこむ特化をするための準備、高付加価値商品を売って収益率を上げるための環境づくりではないか、と、仮説作りにつなげることができますし、お門違いではないはずです。

マズローの5段階欲求説は、ニーズ特定を把握するためのきっかけ要素の提供です。これをもとに別の論法を使って仮説づくりを強固にしていけばいい、と思います。

欲求のレベルを5つ知っているだけで、いつでもどこでもできるものです。ブレストで軽くやってみることをおすすめします。

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