総務省が毎年発表している、『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』の中で、SNSの年代別利用率という項目があります。これはアンケートに回答してもらった人たちを母数にして、その中の何割がSNSを利用しているのかを集計しています。この、年代別利用率を、日本の人口動態の中の年代別人口にあてはめてみて、日本国内にそれぞれのチャンネルアカウントをもつSNSユーザーはどのくらいいるのか、というのを推計してみました。
SNSごとに表示される%は、それぞれの世代における利用率。たとえば、LINEの10~19歳の男女計の全回答者中で64%の人がLINEを使っている、ということです(情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)。
では、この利用率を人口動態にあてはめてみると、実際に国民の何人がそれぞれのSNSアカウントを持っているのかを推計したのが、世代別人数になります(単位千人)。LINEの10~19歳では、883万6000人が利用しているだろうな、ということに。
では、それぞれの数字と言われている噂の検証をしてみます。
「おじさんのメディアFacebook」は大ウソ。保有比率は20代男女の方が高い
おじさんたちが一生懸命つながりを持っていく、とされるFacebook。おじさんの定義を30歳~60歳とした場合、男性の保有比率と人口はこれだけ。おじさんでなくおばさんのメディア、というならまあなんとか言えるかな、という内容です。
保有比率は20代男女の方が高く、人口は649万人。おじさんおばさんを合計すると、2000万人を超えるので、その比較ではたしかにおじさんおばさんが使っているように見えますが、持ってないおじさんおばさんは2300万人以上いるわけで、これと比較して「おじさんのメディア」と呼ぶにはかなり無理があるようにも感じます。
まあ、実態としては20代は就活でおじさんたちとのコンタクト確立のために作る、という背景があるのと、Facebookのメッセンジャーを使って仕事のファイルやりとりや連絡を取り合っているおじさんおばさんが自営業・フリーランスに多数いるので、使用感としてまわりにおじさんおばさんばかりいる印象が、特定の層(たとえばフリーランスライター)にあるといえばありますが、サラリーマンが使うとしたら趣味の延長程度でたまにアップするくらいです。
意外に全世代にウケがいいYouTube
高齢者はテレビが全盛、と思われていますが、アカウント所有率と所有人口は、全世代まんべんなく均等な傾向が目立つのがYoutubeです。
閲覧環境がスマホのみならずネットTVや自宅パソコン、会社パソコンなど、市長環境が多岐にわたるのも関係しているように思います。
男のニコ動、女のインスタ
男性のインスタグラマーが増えてきた、と言われているようですが、実態数としては、やはり圧倒的に女性ユーザーが多いですね。
インスタ利用者数は、まだまだ少なく、市場価値として果たしてどうなのか、というような推計です。しかしそれでも女性の利用比率が非常に高いのは、はっきりしています。同じような現象がニコニコ動画にも表れています。SNSとしては全くシェア率が低いですが、ニコニコ超会議など通ウケするメディアであることは確かで、その基盤を支えているのはメンズユーザーであることも、数字に表れています。
切り口はいろいろ
切り口の一例を示してみましたが、パブリックリレーションズではほかのメディアとのバランスや役割分担、意味づけなどで考察するものです。ここでは触れていませんが、「じゃあ、テレビはどう利用されているのか」という疑問が出てくるはずです。
ネット関連の調査にある「インターネット」とは、これらSNSを含めたものなのか、あるいはブログ・Webと分けた存在なのか、という前提の置き方の違いで見え方がまったく変わってくることにも注意しなければなりません。