パブリックリレーションズ、広報、広告・宣伝、PRの違い

PR101

情報発信についてのことばとして、広報、広告・宣伝、PRと、たくさん「用語」があります。しかし、その意味をしっかりと理解して使っている人は非常に少なく、むしろまちがって使われていることのほうが多いです。

ストラテジックPRをやっている私にとって、この間違いは「だめだろーーー」と声を大にして言いたい(笑)。世界で笑われないために、改めてこの違いを解説してみます。

 

まず、パブリックリレーションズとは

ここでいう「パブリックリレーションズ」は、「Public Relations」で日本人が連呼する「PR(ピーアール)」とは別の扱いをします。

2012年、パブリックリレーションズの提唱の国アメリカ合衆国の全米パブリックリレーションズ協会が、パブリックリレーションズを、「組織と彼らのパブリックとの間に相互に有益な関係を築く(ひとつの)戦略的コミュニケーションプロセスのこと」と定義しました。

くわしい解説記事を作りました。

この定義は何度も更新されていて、その背景は情報発信手段と対話手段の急速な多様化と、今まで以上に異なる文化・考え方の人たちが広範囲にコミュニケートする環境が広がっていることによります。

1988年に一度大きな改変がされたのですが、そのときの和訳は、パブリックリレーションズを、「異なるパブリックを相互理解に結びつけるコミュニケーションの総論である」としていました。

大きな前提は、2方向でのコミュニケーションであることですが、現実路線としては一方通行の情報発信法を複数組み合わせて、フィードバックを総合的に取ったり、フィードバックの機会を与えるという形でパブリックリレーションズの体裁を形作っているのが実態です。ゆえに、「双方向」や「相互」という言葉は何を達成するのかというゴールをクローズアップするように変化してきています。

1988年の定義では、コミュニケーション手段はたくさんあるよね、それを使おう、というようなソフトな言い回しでしたが、2012年の定義ではそれらをロジカルに構築していこう、という、やや広告・宣伝的アプローチ論が入ってきているようにも思えます。

が、戦略的な構築は、現場レベルでいうと、会社のありとあらゆる情報発信を、会社のミッション達成のために使いこなそう、ということなので、無駄な情報発信をするな、という意味での戦略化を意味しているのだと、わたしは思っています。

まあ、定義はある程度ファジーにしておかないと、それぞれのローカルの風土や習慣にフィットしなくなりますし。

これをふまえ、以下のことばについて解説していきます。

 

ということで、改めてパブリックリレーションズ(笑)

さきほどは定義の変遷と前後関係について解説しましたが、では使うとなったらどう理解しておけばいいのか。

簡単に言えば、会社の経営戦略を理解して、そのミッション達成のためにコミュニケーションの方法を総合的に考えて構築していくこと、につきます。

経営戦略があれば、それをもとにコミュニケーション戦略を作る、ということです。

ポイントは、会社のウリの商品やサービスを世の中に広めるための情報使いではなく、その商品やサービスも含め、それらを提供する会社全体の姿勢や取り組みまですべて方向づけて発信する、ということです。

商品やサービスはそもそも会社の設立理念を達成するための手段なので、手段のみフォーカスしていくと、目的を忘れお金を得るためだけの発信に100%なってしまいます。その場合、顧客目線は失われ、自分たちの都合で情報を相手に押し付けていく発信にシフトしていきます。これは双方向コミュニケーションの意に反することで、パブリックリレーションズではありません(これをプロパガンダという)。

しかし世の中の多くの会社が、売りたい商品をベースに情報発信を考えています。
そんな環境の中で円滑なコミュニケーションなど成立しません。

会社の理念から情報発信を考えていく。
これを前提にしなければなりません。

 

広報

原典はパブリックアフェアーズ(Public Affaris)をさし、主に米軍や時の政権の情報発信活動全般で使われている用語です。その手段のほとんどが、スポークスパーソンによる報道発表によったため、広報活動=報道対応、というイメージがついてしまいました。

この用語を使う会社の多くは、報道対応をベースに対外的にコミュニケーションを志向しているところが多いですね。双方向でコミュニケーションするので内容としては正解ですが、定義の中の1要素にすぎず、仕事範囲がパブリックリレーションズと比べると局地的になります。

パブリックリレーションズは、パブリックアフェアーズで露出した問題や、宣伝活動などの新しいコミュニケーション法を飲み込んで総合的になっていった後付けの理論ですので、情報発信の考え方が「広報」で停滞してしまうのはしょうがないといえばしょうがないものです。が、情報発信にアンテナを張る当事者たちが、報道対応しか考えを巡らせないフレキシビリティのなさも、問題と言えば問題です。

広告・宣伝

自分たちに都合のいい内容をメッセージ化して特定のパブリックに提供する1方向のコミュニケーション手段の総称です。購買を促す、自分たちにとって都合のいいアクションを取ってもらうことを目的に利用しますので、これだけを扱う部署はパブリックリレーションズ部だとは言ってはいけません。

しかし、実際にお金が発生しやすいのはこの分野であり、コミュニケーション分野でこれを扱う企業(広告代理店)の発言力が高く、1方向コミュニケーションにシェアを圧倒されているのが現実です。この人たちの発する間違った考え方が、パブリックリレーションズの定義を押し曲げてしまっています。

この手法は厳密には自分たちのメッセージを相手におしつける行為なので、コミュニケーションとはいいがたいのです。これはインターネット以前の情報発信時代では主流で、この人たちが言う「対話」「コミュニケーション」とは、「自分たちに都合のいいフィードバックに対してのみ反応すること」であることがほとんどです。パブリックリレーションズにおける双方向コミュニケーションとは、自分たちに都合の悪い事実をつきつけられても向かい合い、対応する力も含まれます。広告を扱う人たちにその気はまったくなく、逃げ出します(何か問題があったら「取り下げる」でおしまい、と思っているし、実際にそういう例は枚挙にいとまがない。棄損した価値の修復にどんな手立てを取っているのでしょうか。被害を受けたパブリックに対しての補償も補修もないですよね)。

 

PR

営業トーク、営業ツールという、営業活動の最先端で使われていた用語が「アピール」と混同され流通してしまったものです。営業レベルではたしかに対話もありますが、「セールストーク」は基本的に片方向の伝達手段でパブリックリレーションズの真意に反します。この最近の顕著な例が、ネットにおける広告タイアップ記事を「PR」と表記してしまっているものですね。

 

まとめ

用語の使い方ひとつで、情報発信に対する認識を測れるののがパブリックリレーションズの分野です。
それぞれの用語の特徴を理解した上で、ケースにより使い分けることから、パブリックリレーションズの活用につなげていってもらえるといいな、と思います。