コミュニケーション分類の中でのストラテジックコミュニケーション(戦略PR)の立ち位置

PR101

広報、PR、コーポレートコミュニケーション、IR、GR、エンプロイーリレーションズ。。。日本人にとって、「広報」に関する「類義語」は年を追うごとに増えていき、果たして何がどう正しくてどう違うのかすらわからなくなってきているかもしれません。実際に、世の中で使われているもののほとんどは誤用が多く、広報関係者、PRカンパニーの重鎮ですら堂々と、間違って使っています。

まず、すべての語源は「パブリックリレーションズ(Public Relations)」が始まりであり、それを世界でいち早く体系化し、組織的に普及させたのがアメリカ合衆国の全米PR協会(Public Relations Society of America; PRSA)です。ゆえに、毎年行われる全米PR協会のカンファレンスでは、その定義の内容の確認や、コミュニケーションに関する意見交換が行われ、それらは世界の「PR協会」に翻訳・翻案され、普及されるという流れがあり、その中でいろいろと新語が発生したりしています。

といいつつも、全米PR協会の見解が、必ずしも完ぺき、とは限りません。
コミュニケーションの形態の変化により、時代ごとにその定義は変化させています。

「ストラテジックコミュニケーション」という新語は、これまたアメリカで体系化されつつあるカテゴリーですが、「●●リレーションズ」というカテゴリーではない新しさと違和感があるのも事実です。これを全米PR協会はどうまとめていくのか注目どころですが、今回はこれが主題ではなく、現状のカテゴライズで、それぞれの用語はどうまとめていくのが一番妥当なのか、ということに触れたいと思います。

コミュニケーション→PR→ストラテジックコミュニケーションと日本特有の将来の懸念

ひとまず、概念図。

人と人がつながりをもち、少しでも理解しあう行動をコミュニケーションといいます。広報関係者はもう少し組織だった、方法論だった手法を思い浮かべがちですが、日常の「おはよう」やおしゃべりなどもコミュニケーションであるのは周知の事実です。

これに特定の関係性(Relations)を取るのがパブリックリレーションズですが、直近の定義では「組織とそのパブリックたちの間に相互に有益な関係を構築する戦略的なコミュニケーションプロセスである。」としたので、無意識的な組織とのつながり構築よりも、計画的につながりをもとめていくことを重視していくことを意味しています。

(有意識的なもののみをパブリックリレーションズとするなら、この用語は消滅し、すべて「ストラテジックコミュニケーション」に変更されるはずですが)

しかし、無意識的な関係性も存在するので、「パブリックリレーションズ」はそれをとどめたまま存在する、ととらえていいでしょう。ゆえに、ストラテジックコミュニケーションは、パブリックリレーションズの中にあるもの、ひとつのポーションだが最大クラスのポーションである、と考えるのが妥当です。

日本における困った状況は、以下の用語にひもづいてくる余計なイメージです。

広報:パブリシティの代名詞、情報庶務の扱い、というような誤用
PR:アピールのまちがい、という誤用

これらはストラテジックコミュニケーションの純粋な普及の足かせになることは間違いなく、メソッド論で大幅な偏りが想像できます。ゆえに、それっぽい用語すべてはストラテジックコミュニケーションの枠の中に不本意ながら点線でいちおう囲いました。

ストラテジックコミュニケーションとその他リレーションズ類との違いの明確化

IR:インベスターリレーションズ
GR:ガバメントリレーションズ(ロビイイング)
MKT:マーケティング
CSR:顧客満足度リレーション
ER:従業員リレーション
その他リレーションズ

これらはすべてパブリックリレーションズの1ポーションであり、必要に応じてストラテジックコミュニケーションに組み込まれる、とするのが妥当です。

リストしたリレーションズのそもそもの目的を上げればわかるのですが、特定目的のリレーションの体系化だからです。

IR:投資家向けの説明で法的、私的にコミュニケーションする
GR:自分たちの権益のために3権とコミュニケーションする
MKT:自社商品を売り込み、顧客が自発的にそれを買いに来てくれるしくみづくり
CSR:企業理念面から投資家に長期応援者になってもらい新卒採用で共感・賛同者を募る
ER:従業員と仲良くする

これらが単独でがんばっても企業の経営戦略を達成することは不可能です。
マーケティングは別格扱いしたくなりますが、自社商品を売るということがほとんどの企業の命題である点で、一番多くの人たちがかかわり、研究してきた、ということにすぎません。

これらのリレーションズのがんばりの結果出てくるのが、「ブランド」です

ストラテジックコミュニケーションとパブリックリレーションズの違い

さきほど上げましたが、無意識要素も加味したものをパブリックリレーションズ、戦略など特定の方向付で動かすものをストラテジックコミュニケーション(有意識)とするのが一番わかりやすいかもしれません。

ストラテジックコミュニケーションとコミュニケーションの間にあるパブリックリレーションズを除いてしまうと、「では何のためにストラテジーを作るのか」というそもそもの目的「リレーションズ」が抜けてしまうので(単語ベースで意味を考えて比較すると、ということで)、ストラテジックコミュニケーションに新しい概念や定義化が全会一致で修正されない限りないだろうな、と思います。

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