ストラテジックコミュニケーション(戦略PR)は昔から意外と身近にある

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広報界隈では、「戦略的思考をもった活動をしよう」と言い出し、それを「戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)」とキーワード化し、「ずいぶん前から」ざわついています。

このムーブメントは、表層部分だけを切り取れば好ましい状況です。マネジメントに沿ったパブリックリレーションズを志向しているわけなので。しかし、各論まで下がっていくと、いつのまにか戦術にすりかわっていたり、へんな簡易ワードに置き換わっていたりという混乱が見られます。

この問題はキーワードをそれぞれを改めて定義しなおしながら解決するとして、今回はストラテジックコミュニケーション(戦略PR)は、そんなにさわがなくてもずっと身近だったはずだ、という考察です。

戦略的思考?

戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)を語る人たちは、必ずと言っていいほどこのキーワードを連発します。誰に語っているのか、というと広報部署やコミュニケーションの一翼を担っている従業員に向けてのものです。誰が言っているかを見てみると、PRカンパニーの社長さまや、大企業のコミュニケーション部署のトップによるものが多い。

こういった事実から、「戦略的」という言葉は「経営者」と置き換えることができるのでは、と思うのです。

企業や団体という組織は、トップが方針を示し、「戦略」の名のもとにかじ取りをするから、戦略づくりや運用の担当は主に社長です。しかし、従業員レベルでこの思考を持っていると、組織としての活動スピードは全体に早くなりますね。経営者の意図をくみ取る(=企業戦略に合致した活動を行う)わけですから。

つまり、「こういう人たち」の言う「戦略的思考」、とは「経営者思考」を意味することが大半です。

そもそもの戦略、経営についての用語解説はこちらに。

★「戦略」と「経営」コミュニケーション戦略づくりのための用語理解
http://pr401.com/archives/602

経営計画は原始コミュニケーションである

経営戦略の根幹である事業計画(経営計画)は、組織がどのようなプランでお客さんとつながり、良好な関係を築いていくのか、とうことにほかなりません。大半が商品やサービスを購買してもらう(納得してもらう)ことでそれを実現しているわけです。ゆえに、今騒いでいるコミュニケーションンすべての動機になります。

戦略的パブリックリレーションズ(戦略PR)で語られるキーワードの部分的不具合

たとえば、超大手広告代理店の電通が、事業紹介の一部で戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)の解説をしていますが、そのキーワードは以下のようなものです。

『ストーリーづくりで「自分ゴト化、仲間ゴト化、社会ゴト化」』

6 RULES OF STRATEGIC PRという本は、これを6つのキーワードにしていますね。

(1)おおやけ(公)……「社会性」の担保
(2)ばったり……「偶然性」の演出
(3)おすみつき(お墨付き)……「信頼性」の確保
(4)そもそも……「普遍性」の視座
(5)しみじみ……「当事者性」の情勢
(6)かけてとく(何々とかけて何々と説く)……「機知とリアルタイム性」の発揮

ほかにもたくさんキーワード化する試みがありますが、経営者視点にすっとマインドを切り替えることができる人にとっては、かえって混乱するかもしれません。

これらは単に経営戦略のあり方を指摘しているわけです。

・人のためになる事業だから、
・売れる=多くの共感を勝ち取ったわけで、ゆえに
・この組織は「まだまだ」存在してよい、と社会に認められた

という流れです。

これらのキーワードは、戦術面で活用するシーンが多くなるので(だから従業員向けにはウケがいい)、戦略とは厳密な意味では異なります。

戦略的マネジメントとは

計画立案にかかわるプロセスそのものです。これは、経営自体でもパブリックリレーションズでも同じです。

まず、経営は組織体全体のミッションと目的を明確に定義するでしょう。

経営ビジョン
経営計画
さらには、社是という形に表現されます。
数値目標などは、短中長期で設定されます。

パブリックリレーションズにおける戦略的マネジメントとは、経営者目線で経営計画を履行するための、情報マネジメントになり、この計画立案のプロセスが戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)の要諦になります。

言ったことの説明責任を取ることが戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)

経営方針を内外に示し、行動した結果を測定し、改善につなげていく。
このしくみを情報発信やフィードバック面でつくるのが(計画立案をするのが)パブリックリレーションズの戦略的マネジメントになります。

まとめ

ちょっと話題がぽんぽんと飛んで行ってしまったので、あらためてまとめてみます。

1.ストラテジックコミュニケーション(戦略PR)を導入しろ、という声が聞こえてきている。

2.詳細を分析するとその根幹である「戦略的思考」は「経営者志向」と同義だったので

3.なんだか最近いかにもわかりやすいキーワードで戦略PR(ストラテジックコミュニケーション)のなんだかんだは、従業員目線を経営者志向に変化させるための「戦術ワード」だったのではないか、という考察。

4.じゃあ、ストラテジックコミュニケーション(戦略PR)ってなにかというと、「戦略的マネジメント」というキーワードにのっとって経営に関していろいろととりきめや約束を作ることであり、

5.それらの説明責任を取ること、すなわち計画立案をコミュニケーション面で行うことであるよね、

という説明でした。

ストラテジックコミュニケーション(戦略PR)は、経営で決めたことを世界の人たちのどの層にアピールし、共感を得て存続を勝ち取るのか、というロードマップであり、そこで6つのキーワードや3つのキーフレーズなどで先鋭化させる、ということですね。わかりやすいこれらのワードから入ってしまうと、そもそも何を取り決めていたのだっけ?ということを忘れ、スキルと技法にのみフォーカスしてしまうので、気を付けよう、ということでもあります。

★この記事の親記事は、こちら
コミュニケーション分類の中でのストラテジックコミュニケーション(戦略PR)の立ち位置
http://pr401.com/archives/518

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